ここ10数年ほどで、日本の2Dアニメの中でも当然のように3DCGが使われるようになり、少し前までは3DCGを使っていると明らかな違和感があったのが、ここ最近は違和感をほとんど感じさせないレベルにまで来ています。
昨今の多くのアニメでは、メカ、環境物、エフェクト、背景にいるモブキャラクターなどに3DCGが使用されていますが、アニメ「蒼き鋼のアルペジオ」はその範囲をスポットライトの当たったキャラクターにまで広げています。
CGI特有の"人形っぽさ"はまだあるものの、メインキャラクターにおいては作画されたアニメキャラクターのような見た目、表情、動きをしており、技術レベルの高さにちょっとした怖さすら感じます。(作画の部分もありますが)
当然、モデリングされた3DCGですので、作画崩壊をすることもありませんし、常に高いクオリティで描くことが可能です。また、作画では難しい、もしくは手間がかかるようなカメラの動きも可能で、映像はさらにリッチなものになります。
本作に登場する「メンタルモデル」の性質上、3DCGの人形っぽさは許容できるわけですが、もし作品がもっと日常的で、キャラクター全員が人間であったなら、まだまだ違和感の方が強いんだろうと思います。
肝心の海戦ですが、意外と少なく、ロボットアニメっぽい演出だったのでやや拍子抜けしました。なんというか、ガンダム等の宇宙戦艦の戦いを見ているような・・・
蒼き鋼のアルペジオという作品のストーリーは一見すると軍艦を扱ったSFミリタリーという感じなのですが、実際見てみると、舞台は地球の海ではあるけどスペースオペラっぽいSF作品でした。
"擬人化"についてはユニークで、艦艇が人の姿に擬人化されているわけではなく、艦艇のパーソナリティが「メンタルモデル」という対人用のインターフェイスとして存在しているようです。このあたりに用意された主題は、涼宮ハルヒの憂鬱の長門有希のパーソナリティの獲得に近いものがあります。
全12話の中では、主人公たち人類の敵である「霧の艦隊」が何なのかは明かされておらず、世界の歴史というものもあまり語られていないため、いきなり何か始まったという感じが否めないのですが、単純に「人類 対 謎の存在」という構図にしなかったことでストーリーのポテンシャルは非常に高いと思います。
原作は読んだことがありませんが、この後も謎に迫っていく展開があるのでしょうし、いずれまたアニメ化されるのかと思います。
個人的な好みとしては、これだけの設定があるのならもっと大局的に話を進めていってほしいと思ったりしました。ストーリーそのものというよりストーリーテリングに若干ぎこちなさを感じたのでそこはマイナスです。あとこのアニメにおける百合要素もあまり好きではないので・・・
コメディ要素は良かったと思います。
オープニングの「Savior of Song」はとてもかっこいい曲ですが、オープニング映像は微妙の一言。悪くはないけど別段良いとも。
もし2期があるとして、そこでもっと世界情勢に焦点をあてた大きな展開があるのなら、より高い評価ができると思います。