frfrさんの評価レビュー

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アクションだけじゃない

観賞手段:劇場
ネタバレ
本当によく考えぬかれて作られているプロットだと思います。
おそらく色々な要素を取捨選択して、取り入れた要素、捨てた要素があるのだと思います。
廃校とか、戦車道協会とかは瑣末なきっかけに過ぎません。

意外と見えにくいのかも知れませんが、
西住みほという、異質な才能を保った主人公が、家庭のしきたり、束縛から逃げ続けており、未だにわだかまりを残していると言う要素は実はしっかり根っこに流れています。
その上で結成された、姉妹バディによる圧倒的な戦いだからこそ、最後があれだけ盛り上がるのです。
その辺りをしっかり計算に入れながら、敢えて水面下に留めたのは、そういうバランスを志向したからでしょう。
脳天気な映画にしたかったからなのか?
そうではないと思います。
西住みほは自分が否定したものが、1年や2年上がらった所でどうにもならない伝統だと悟っているはずです。ああいうのって、たとえ母が許したとしても、どうにかなるってもんでも無いですよね。
だからこそ、今はもう悩む姿も見せず、「あんこう号(?)」の上に佇立して、邁進するしかないのです。
もちろん姉妹だけではありません、おそらく部活動や、試合で対戦を通じて彼女の才能と葛藤を悟った友人たちは、それをひたすら明るく支え、あるいは応じることで、自分たちの進む道も開けるだろうと、心を決めて参戦しているのです。
もちろん、個々のこだわりで参加しているキャラクタも居て、そこの四方山も良く組み込まれていると思います。
一見、「お祭り」「多幸感」に寄った作りにはなっているかと思いますが、このしっかりした背骨があればこそ、これだけの登場人物を1人も余さずイキイキと動かし、あれだけ派手な展開に耐える作りになっているのだと思います。
とにかくものすごい密度で色々と入れ込んだため、敢えて盛り上がる展開を諦めたのかな、と思う所もいくつかあるのかなとは思います。
今回登場した島田流の天才児の描かれ方はたしかに薄いです、テーマの上でも、何かもうちょっとあればとは思いました。
しかし、何の乱れも見せず、TVシリーズからしっかり筋の通ったストーリーを抱腹絶倒でまとめるなんて、今の日本でこれだけ出来る人がどれほどいるでしょう。
続編の可否もわからないのですし、120分だけを考えて作らざるを得ない事情の方に対して、星-0.5くらいでいいかなと思います。
(5はオールタイム・ベストにとっておきたいし、このストーリーはまだ完結していないと私は思っているので)
この雰囲気を守りながらはなかなか難しいと思いますが、いつか、みほが全てを乗り越えた時、オールタイム・ベストの青春ストーリーとして完結してくれればと思います。
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ストーリー
4.5
作画
5.0
キャラクター
4.5
音楽
5.0
オリジナリティ
5.0
演出
5.0
声優
5.0
5.0
満足度 4.5
いいね(0) 2015-12-20 09:00:31

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